ツイッター使い方(2010年3月、河瀬大介)

利用者が増えているツイッター(twitter)について、河瀬大介がレポートします。

つぶやき、鳩山由紀夫首相も利用

インターネットの世界で「Twitter(ツイッター)」と呼ぶコミュニケーションサイトが若者を中心に支持を得ている。140文字以内の「つぶやき」をチャット感覚で投稿し合う仕組み。「新しもの好きの若者向けサービス」と見なせばそれまでだが、鳩山由紀夫首相をはじめ著名人の利用が増える中で、情報収集ツールとしても注目されている。そこにはインターネットの新たな進化が見て取れる。

「フォロー」と「フォロワー」

ツイッターの利用者は自分の専用サイト(ホーム)を持ち、「いまどうしてる?」の質問に対して140文字以内でつぶやきを書き込む。他の利用者の書き込みを自分のホームで自動的に表示する機能を「フォロー」、逆に自分をフォローする他の利用者を「フォロワー」と呼ぶ。

気に入った発言者をフォロー

このほかツイッターならではの言葉の使い方は利用してみないと分かりにくいが、機能面では気に入った発言者をフォローし、自分のホーム上ではフォロワーの書き込みも瞬時に確認できるのがポイント。自分の書き込みに対する世間の反応を知るのには便利。政治家が飛びついたのはこうした理由がある。

140字以内でつぶやくセンス
匿名掲示板サイトとは異なる?

フォローという行為はツイッターならではの特性。インターネットの掲示板サイトなどでは匿名による誹謗(ひぼう)中傷がまん延することがあるが、「ツイッターではつまらない発言はだれからも相手にされず、投稿のウズの中で消えてしまう」(ツイッターの上級者)。ツイッターの世界ではこれを「浄化作用」と呼び、匿名掲示板サイトとは明らかに特性が異なる、という意見がある。投稿が自然に浄化される仕組みがあるとされ、ツイッターが支持される理由の一つといえよう。逆にいえば140字以内で的確につぶやくセンスも問われるというわけだ。

学生の利用率が高い

富士通総研の調査によると、ツイッターという言葉を知っている人は70・2%にのぼるが、利用者はわずか8・2%。年代別の利用状況は、若年層を中心としたリアルタイムのコミュニケーションと、40代を中心とした情報収集に大きく分かれる。とりわけ学生の利用率は16・6%と高く、「ツイッターをリアルタイムのコミュニケーションツールとして使いこなしている姿がうかがえる」(富士通総研)。

スマホでも利用できる

ツイッターの発祥地は米国。日本ではここ1年程度でようやく利用者が増え始めた段階。携帯電話やスマートフォン(スマホ)でもツイッターを利用できるため、今後大きく広まっていく可能性はあるが、生活スタイルの中に入ってくるか否かは未知数だ。

一方で「英語で140字を書き込むよりも、日本語の方が漢字が扱えるため、多彩な表現ができる」との意見もある。情報収集ツールとしての活用を見据え、何はともあれ、まずは試してみてはどうか。

「ツイッター」のクチコミ投稿を分析(河瀬大介、2010年6月)

NECビッグローブは、企業向けのウェブアクセス解析サービス「ウェブミルレポート」に、ミニブログ「ツイッター」のクチコミ情報を分析するオプションサービスを追加したそうです。島田雄貴の短信です。

ポジティブ・ネガティブ判定

NECビッグローブ(東京都品川区、飯塚久夫社長)は、企業向けのウェブアクセス解析サービス「ウェブミルレポート」に、ミニブログ「ツイッター」のクチコミ情報を分析するオプションサービスを追加した。商品やサービスについて、投稿件数や内容のポジティブ・ネガティブ判定、情報の広がり具合などを定量的に分析し、リポートで提供する。料金は15万7500円から。

アクセスログや閲覧者の属性を解析

従来、ウェブミルレポートでは企業のホームページや商品・サービスサイトなどを対象にアクセスログや閲覧者の属性を解析し、26万2500円(シンプルプラン)から提供している。NECビッグローブでは、爆発的に利用が増えているツイッターのクチコミを対象に加えることで、商品・サービスに関する評判をより多角的に解析できるとしている。

孫正義ソフトバンク社長のtwitter(河瀬大介、2010年5月)

孫正義ソフトバンク社長のtwitterが、総務省の通信政策にも影響を与えているようです。河瀬大介のルポです。

NTT再編、年内決着へ-

1985年のNTT民営化から四半世紀が経過した。1999年の分社化以降、2006年にNTTの完全資本分離を目指した当時の竹中平蔵総務相はじめ、誰もなし得なかったNTT再編。この長年の課題が、年内にも決着する見通しとなった。議論の中心は2015年までにブロードバンド(高速大容量通信)利用率100%を目指す「光の道」構想。原口一博総務相はその実現に向け、NTTが保有する光回線事業の分離も辞さない構え。政治主導の名の下で議論が加速している。

原口総務相「光の道」構想にアクセル

情報通信技術(ICT)政策を検討する総務省のタスクフォースは、14日に光の道構想の基本的な方向性をまとめた。圧倒的な支配力を持つNTTの経営形態については、NTTが保有する光回線のうち、電話局から一般家庭を結ぶアクセス部門を分離する3案を盛り込み、「1年後に再度検討する」と提案。再編の具体案を明記し、判断時期を1年後と区切った点で踏み込んだ内容と言えるが、実質的には結論を1年先送りすることになった。

原口一博総務相のツイート

タスクフォース座長の黒川和美法政大学教授は「先送りではない。今後1年間、緊張感を持って議論を尽くし、その上で是非を判断するということだ」と説明する。だが、原口総務相は年内決着に強いこだわりを見せる。twitter(ツイッター)でのツイートも続けている。

タスクフォース

「1年先送りする余裕はない」。18日の衆院総務委員会の答弁で原口総務相は断言した。ツイートでも意見を述べている。同日開かれたタスクフォースの政策決定プラットフォームでも、タスクフォースの各座長や総務省幹部らを前に「国民に次のステップを実感してもらうためにも、年内には一定の結論を得る」と強調。早急に行程表を作成し、今夏にも「光の道戦略大綱」策定の方針を打ち出した。さらに21日の会見で、光の道構想実現のための新法案を来年の通常国会に提出するため、省内にプロジェクトチームを設置すると発表。構想の具体化に向けた動きを加速させている。

NTTの再統合を容認

原口総務相は2009年9月の就任時、「分割ありきの議論は周回遅れ」「NTTがグローバル市場で巨大企業に勝てるような組織のあり方を検討すべきだ」とNTTの再統合を容認するような発言を繰り返していた。

光回線事業の分離も

NTT寄りの姿勢が、光の道構想を発表した12月に180度転換する。「光回線を共通インフラとして光の道路をつくりたい」(原口総務相)。現在、光回線は全世帯の9割が使える環境にあるが、利用率は3割程度。光の道構想はインフラ整備と利活用促進の両面から、一気にこれを100%に引き上げようとする意欲的な内容だ。

これを境に、原口総務相は「NTTの光回線事業の分離もやむなし」との姿勢を打ち出すようになった。

ツイッターで急接近

親NTTから反NTTへと急変した原口総務相の背後には、孫正義ソフトバンク社長の影が見え隠れする。2人はツイッターを介し、お互いの幕末史好きもあり、急接近した。光の道構想も、ソフトバンクが民主党に持ち込んだ案が原型になっている。

タスクフォース

17日、孫社長はタスクフォースが出した結論に対し、「1年は長すぎる。半年で結論を出すべきだ」と主張した。原口総務相の翌日の発言は、それに呼応するかのようだ。タスクフォースや総務省の中にも2人の関係の近さをいぶかる声は多い。

民業圧迫につながる/電力系・CATV業者

タスクフォースが提案したNTTの光アクセス部門の分離案は(1)社内に独立した組織を設ける「機能分離」(2)グループ内分社化(3)完全分社化-の3点。1年後にその是非を判断するとしたが、原口総務相の強い意向で年内には結論を出す。

NTT法や電気通信事業法の見直し

原口総務相はNTT法や電気通信事業法の見直しをはじめ、利活用促進のための規制緩和などをパッケージ化した「光の道3法案」を策定し、来年の通常国会に提出する意向だ。NTTの分離案もこの中で検討されることになる。法案策定にかかる作業時間を勘案すると、遅くても秋までにその是非を判断しなければ間に合わない。

一般加入電話網(PSTN)の概括的展望

一方、業界内には「分離の是非は、NTTが今秋にまとめる一般加入電話網(PSTN)の概括的展望を待つべきだ」との慎重論も。タスクフォースの構成員は「議論が尽くされていない状態で拙速に結論を求めると、将来に禍根を残すことになる」と、原口総務相がこだわる“年内判断”に戸惑いを隠さない。

イー・アクセスは反発

また、各地域で自前の光回線を持つ電力系通信会社やイー・アクセス、日本ケーブルテレビ連盟は「独占的な光アクセス回線会社が誕生すれば、民業圧迫につながる」と真っ向から反発している。これらの声にどう耳を傾けていくか、原口総務相の調整力が問われそうだ。

研究会のインターネット生中継・オンデマンド配信

2009年9月の就任以来、原口総務相は定例会見や政務三役会議のオープン化、省内で開く研究会のインターネット生中継・オンデマンド配信など、ガラス張りの政治に取り組んできた。一方、光の道やNTT再編を集中的に検討する専門チームの議論は非公開。省内のプロジェクトチームも非公開で法案の策定作業に取り組む見通しだ。

オープンな場で検討

すべての経過を明らかにする必要はないが、公開の場で議論が尽くされなかったNTTの光回線事業の分離案や年内決着の方向性などが、タスクフォースの中間報告に土壇場で反映された経緯もある。NTT再編は通信業界の将来を左右する問題。議論の透明性を担保し、これまで以上にオープンな場で検討を進める必要がある。

NTTの分離・分割にかじを切れば簡単に後戻りはできない。自ら設定した年内という期限が足かせとなり、検討に十分な時間がかけられない恐れもある。原口総務相に課せられた使命は重い。

千本倖生イー・アクセス会長らが訴え
光アクセス部門の分離

これまでNTTの光アクセス部門の分離案は、孫ソフトバンク社長や小野寺正KDDI社長兼会長、千本倖生イー・アクセス会長らが訴え続けてきた主張だ。光回線市場で75%のシェアを持つNTTの同部門を分離することで、他社もNTTと同じ条件で使えるようにする狙いがある。

メタル回線撤去案<

だが、ソフトバンクが今回のタスクフォースで提案したNTTの光アクセス分離案は趣が違う。既存の加入電話で使っているメタル回線を引きはがし、光回線に置き換えることが前提だ。三浦惺NTT社長は「光は必要ないという人もいる。まだ4000万人が利用する加入電話を無理やりやめて、光を押しつけるのか」と猛反発する。

国費ゼロで光100%を実現

「国費ゼロで光100%を実現する」。タスクフォースが4月20日に開いた事業者ヒアリングで、孫ソフトバンク社長はこんな構想を打ち上げた。NTTの光アクセス部門を分離した新会社は、年間3900億円の維持費がかかるメタル回線を撤去することで「初年度から1600億円の営業利益が出る」と主張。政府方針として取り組むべきだと訴えた。

ソフトバンクの試算

ただソフトバンクの試算では、新会社は初年度、メタル回線の撤去費用などで1兆9000億円の特別損失を計上することになっている。「光回線を貸し出すだけの会社が、2兆円もの融資を取り付けられるはずがない」と総務省幹部、タスクフォース構成員とも首をかしげる。だが、原口総務相はソフトバンク案に強い関心を示しているもようだ。

NTTドコモの法人向けサービスの不当廉売疑惑

一方で、NTT自身も再編につながる火種を抱えている。1つが2009年11月にNTT西日本で発覚した他社顧客情報の不正利用事件。もうひとつが、NTTドコモにおける法人向け通信サービスの不当廉売疑惑だ。いずれもNTTが抱える構造的な問題と言える。

日本通信

日本通信はドコモが原価を大幅に下回る料金で契約していたとして、4月19日、総務省に意見申し立てを行った。これを受け、総務省と公正取引委員会は事実関係を調査している。これまでNTT再編は光アクセス部門の分離に焦点が当てられてきたが、不当廉売の事実が確認されれば、ドコモまで含めた再編機運が高まる可能性もある。